小児は、単に大人を小さくした存在ではありません。大人に向けた成長過程にあります。そのため、医療においては、小児の成長を考慮した診療、また小児に特有の疾患の診療といったものが必要になります。もちろんこれは耳鼻咽喉科領域も同じで、お子さまの治療専門の小児耳鼻咽喉科という診療科が欠かせなくなってくるのです。

構造的に子どもの耳・鼻・のどの管は短かったり、耳管の傾斜がほぼ水平だったりするため、大人以上にそれらの相互関係が深いのが一つの特徴です。例えば、鼻水が出るから鼻を診ればいいかと言うと、そうではなく、耳・鼻・のど全体を診察し、その上でしかるべき処置をすることが大切になります。

さて昨今、この小児耳鼻咽喉科領域の病気としては、アレルギー性の病気が目立って増えています。低年齢のスギ花粉症も増加しています。
アレルギー性鼻炎だけでなく、小児副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎、気管支炎や喘息、中耳炎もアレルギーが関係しているため、治りにくくなっているようです。車の排気ガスなどによる大気汚染、食生活の変化、ストレス、夜更かし、生活リズムの乱れなど、大人の生活が子どもにも大きく影響しているようです。

近年、医療情報が豊富になり、保護者の方の意識も向上しているためか、一つの診療科にこだわることなく、耳鼻咽喉科的診察に来院されることも多くなりました。内科や小児科で風邪を治療しており、症状はほとんど無いけれど、少し鼻が出ているので気になり、耳も診てもらいに来られたということで診察してみると滲出性中耳炎になっていた、などというケースは耳鼻咽喉科ではよくあることです。
鼻と喉の病気は、耳鼻咽喉科が最も得意とする領域であることを、しっかり認識しておいていただきたいと思います。

耳の反応をみてあげてください

耳については、遊びの感覚でよいので、ささやき声で背後から声をかけて反応をみて、耳の聞こえが悪くないか注意してあげてください。
鼻やのどについては、寝ているときの呼吸状態に気をつけてください。普段の生活では気づかなくても、睡眠中に鼻呼吸に問題があると、口を開けた状態で呼吸をしており、いびきをかくことが多くなります。
粘っこい鼻水が出ており、口で息をしているようなことがあると、耳に影響して中耳炎になっていることがあります。

このような症状は小児耳鼻咽喉科にご相談ください

  • お子さまの観るテレビの音量が大きい
  • 聞き返しが多い、返事をしない
  • いつも鼻がつまっている、鼻水が出ている、鼻風邪をひきやすい
  • よく口をポカンと開けている
  • 耳鳴りがする、聞こえにくくなってきた、耳が塞がった感じがするようだ
  • よくのどが痛くなり、発熱する
  • のどがイガイガする、異物感があるようだ
  • 耳垢が溜まっている
  • 患者の気持ち